▶ うつ病

うつ病とは

 うつ病という言葉が一般的に広まっていますが、うつ病とは何なのでしょうか。うつ病には診断基準があり、DSMというアメリカ精神医学会が作成した「精神疾患の診断・統計マニュアル」の中で定められています。私は素人なので、詳しい診断基準は分かりませんが、大雑把に言うと、うつ状態が2週間以上続いた場合、うつ病と診断されるようです。むしろショックな出来事による一時的なうつ状態は当然起こりうるもので、立ち直るのに必要な経過だということでしょう。また、うつ病は気分障害というカテゴリーに分類されており、この気分障害には躁も含まれています。

 

うつ病の仕組み

 うつ病について、よく精神面での弱さを指摘する人がいるようですが果たしてそうでしょうか。現在、うつ病は精神論ではなく、脳内で分泌される神経伝達物質が影響しているという説が有力です。具体的には、脳内で分泌されるセロトニン(感情をコントロールするための物質らしいです)が減少するために起きるとされています。したがって、いくら精神的に強い人でも、脳内のセロトニンが減少してしまえば、うつ病になる可能性は十分にありうるということです。そして、うつ病の療法は、基本的にセロトニンを増やすための治療として、薬物療法、心理療法、その他の療法に分けることができます。

 

薬物療法

 薬物療法では、抗うつ剤とよばれる薬を処方することで、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの量を正常に戻すことを目的としています。この薬物療法で主に用いられる薬が選択的セロトニン再取込阻害薬(通称SSRI)と呼ばれるものです。この薬の特徴は、従前に用いられてきた薬より副作用が少ないことです。しかし、セロトニンは消化器系にも含まれているため、消化器系に関わる副作用が見られます。SSRIの副作用が強く処方が難しい場合は、選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取込阻害薬(通称SNRI)、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬といったものが処方されます。ここで注意しなければならないのが、うつ病は薬物療法で必ず治ると訳ではなく、人によって薬との相性があるということです。

 

心理療法

 次に心理療法ですが、代表的なものが認知行動療法です。認知療法とは、自分自身の価値観やものの見方の歪みに気づかせ、その歪みを修正させるというものです。具体的には日記等の記録を残し、後から自分の行動や価値観を客観的に見ることによって自分の歪みを自覚し、自分自身をコントロールしようとするものです。基本的にはクリニック等に通いながら行われることが多く、この他には内観療法や箱庭療法、催眠療法といったものがあります。

 

その他の療法

 最後にその他の療法ですが、運動療法や光療法、音楽療法、呼吸法等、実に様々なものがあります。何これ?と思われる方もいると思いますが、太陽の光を浴びたり、深呼吸をすることで、脳内のセトロニンが増加することが確認されており、実際にこれらの療法で良くなる方もいるようです。ただし、いずれの方法も人によって有効性は異なります。