ウェルテル効果とは
ウェルテル効果とは、メディアの自殺報道に影響を受け、自殺者が増加する社会現象を引き起こすことを言います。この効果は社会学者のフィリップスによって実証され、ゲーテの著書「若きウェルテルの悩み」に由来して名付けられたそうです。この本では主人公が自殺で亡くなる訳ですが、この物語に影響を受けた若い人たちが自殺をし、社会問題となった経緯があります。特に現代社会では、新聞、雑誌、ラジオ、テレビ、さらにはインターネットや携帯など情報媒体は増加しており、しかもその情報は瞬時に広がるため、ウェルテル効果は昔よりも大きくなっています。そのため、現代社会において、自殺報道によるウェルテル効果の影響は避けては通れない課題です。
メディアとウェルテル効果
ウェルテル効果は実際にいろんな国で確認されているようです。日本においても例外ではなく、ウェルテル効果が確認されたものもあるようです。また、メディアによるこの効果は世界的な問題にもなっており、世界保健機関(WHO)からも自殺事例報道に対する勧告を出しています。このようにウェルテル効果はメディアとは切っても切れない関係にあり、これに対する対策を施すことが大切だと考えます。そこで、ここでは世界保健機関(WHO)で勧告されている自殺を予防する自殺事例報道のあり方を紹介しておきます。
WHO勧告「自殺を予防する自殺事例報道の在り方」
この勧告では、「すべきこと」と「すべきではないこと」が示されています。
「すべきこと(一部抜粋)」
・関連する情報だけを、同じページで提供する。
・自殺に代わる方法を示す。
・ヘルプラインや各地域の支援機関を紹介する。
「すべきではないこと(一部抜粋)」
・自殺の詳しい内容や、方法を報道しない。
・自殺の理由を単純化して報道しない。
・宗教的、文化的な固定観念で報道しない。
この勧告から見えることは、自殺の真似ができなように詳細を伏せ、併せて、自殺したいと思っている人たちに違う道を示してあげることが重要だということです。既に自殺報道をある程度コントロールすることで自殺率が減少するという事例もあるようです。日本の報道を見る限り、まだまだ自殺に対する認識や対応が甘いのが現状です。