▶ 交流分析

交流分析とは

 交流分析とは、エリックバーンがコミュニケーションをスムーズにするために、人の交流パターンや問題の起きやすい交流パターンを分析したものです。交流分析は、構造分析、交流パターンの分析(エゴグラム)、ゲーム分析、脚本分析の4つの分野からなっており、人は誰しも生きていく中でその人特有の交流パターンを作り上げるとしています。そこで、自分の交流パターンを分析し、問題が起きやすい交流パターンを修正することで、スムーズな人間関係を築くというものです。交流分析が他の心理学と異なるのは、自分の心理状況(どういったことを感じ、考えているか)を分析することを放棄しているという点と、自分の交流パターンを分析すると同時にその行動処方まで合わせて分かるという点です。交流分析はエゴグラムという質問紙があるため、手軽に自己分析ができるのが特徴です。

 

交流パターンの分析について(エゴグラム)

 エゴグラムは、50問程度の質問紙からなり、回答することでその人の性格の良い点、悪い点を知ることができるものです。エゴグラムでは、人の心は次の5つの心から成立っているものと考えています。

 

   1) 責任感が強く、厳しい父親の心(CP)

   2) 面倒見がよく、優しい母親の心(NP)

   3) 冷静に分析する大人の心(A)

   4) 無邪気で自由な子どもの心(FC)

   5) いい子を演じ、順応しようとする子どもの心(AC)

 

 この5つの心の点数がそれぞれどれくらいあるかによって、その人の性格の特徴が見えてきます。例えば、私の場合はAとACの数値が高い傾向にあります。Aが高いため、冷静で感情に流されることが少ない一方で、感情表現が苦手な傾向にあります。

 また、ACも高めのため、人に合わせることが多く、ストレスを溜めやすいタイプと見ることができます。こんな今の自分に満足していれば問題ありませんが、自分を変えたい人はこのエゴグラムの結果からどのような行動を多めに取れば良いかが見えてくるわけです。このエゴグラム、大企業なんかは入社試験で取り入れているところもあります。手軽にできるので自己分析には持って来いの手法でオススメです。

 

ゲーム分析について

 ゲームとは問題の起きやすい交流パターンを指し、ゲーム分析とは交流の裏に隠れたゲームに気付き対処することで、良好な人間関係を築こうというものです。様々なゲームが存在しますが、ゲームに気付くのはなかなか難しいようです。といのも、ゲームを行う本当の目的は表面には現れず、交流の裏にその目的が隠れているからです。例えば、子どもが万引きをして親に迷惑を掛けたりするときは、その裏に親に気にかけてほしいという子どものメッセージが込められている場合があります。こういった場合、万引きは悪いから子どもを叱る、というだけでは本当の問題は解決せず、子どもがまた問題を起こす可能性があります。

 

脚本分析について

 その人のこれまでの生き方を分析し問題点を把握することで、将来予測される問題を回避しようというのが脚本分析です。将来を予測するというのはなかなか理解しづらいかもしれませんが、人は同じ交流パターンを繰り返す傾向があります。つまり、人は自由に生きているように見えますが、実は同じパターンの繰り返しによって人生(脚本)はできているいうことですね。そのため、自分が陥りやす交流パターンで生じる問題を知ることができれば、将来においてその交流パターンを避けることができます。簡単に言えば、過去から学び、将来に活かすということですね。交流分析は、4つの分野からなっていますが、この脚本分析が最終目標であり、エゴグラムやゲーム分析等を学ぶことで良い脚本(人生)が描けるということだと思います。