▶ 生きがい療法

生きがい療法とは

 生きがい療法とは、ガン治療に用いられる心理療法のひとつです。ガン患者は、医者から死の宣告を受け、絶望の淵に立たされるわけですが、その状況の中で生きがいを見つけ生きる希望を持ち続けることが免疫力の増加に繋がり、ガン治療において有効であるされています。

 

ガンという病

 ガンという病気は、誰もがなりうる病気のひとつです。そもそも人間の体には絶えずガン細胞が生まれており、そのガン細胞をキラー細胞というリンパ球の一種が攻撃することで、体がガン細胞から守られています。通常であればキラー細胞がガン細胞よりも強いため、ガンにかかることはありません。しかし、このキラー細胞は年齢と共に弱まってしまうため、年をとればとるほどガンを発症する危険性は高くなります。逆に考えると、キラー細胞を活性化させることができれば、年をとってもガンが発症することはないと考えることができます。

 

ガンと生きがい療法

 ガン細胞から体を守るためにはキラー細胞が重要な役割を果たしていることはすでに述べましたが、このキラー細胞を活性化させる方法のひとつとして生きがい療法が有効であると言われています。このキラー細胞、にこにこしたり笑ったりすると強くなることが分かっています。つまり、心が健康的であれば、キラー細胞も健康になるという訳です。逆に鬱々したり、マイナス思考に陥っていると、キラー細胞が弱ってしまいます。短期間であれば問題ないかもしれませんが、これが長期間にわたると当然体には良くありません。そこで、生きがい療法では、ガンによる死の恐怖と向き合いながらも、日々の生活に生きがいを見出し、前向きに生きようとすることで体の免疫力を高めることを目的としています。

 

生きがい療法のポイント

 生きがい療法では、免疫力を高めるために、次の項目を実践するよう勧めています。

 

①自分が自分の主治医のつもりで病気に対処すること

②今日1日の生きる目標に取り組むこと

③人のためになることを実践すること

④不安・恐怖はそのままに、今できる最善をつくすこと

⑤死を自然現象として理解し、今できる建設的準備をしておくこと

 

 この生きがい療法の一番のポイントは、死による恐怖をそのままにするということだと思います。これは森田療法の考え方を取り入れているのですが、人は死に向かって生きているわけで、どうやってもそのような不安や恐怖を取り除くことはできないと考えます。だから、無理に不安や恐怖を取り除こうとするのではなく、自分の中の不安・恐怖といった感情をそのままにしながら、前向きな生き方を選択することが重要となります。