▶ 認知療法

認知療法とは

 認知療法とは、うつ病の精神療法のひとつです。認知療法は、今では認知行動療法とも呼ばれています(ここでは認知療法と呼ぶことにします)。認知療法は1900年代半ばに開発された療法で、1900年代後半に行動療法と合体し、認知行動療法と呼ばれるようになりました。そのため、現在は認知療法と言えば認知行動療法のことを指すようです。この療法は、事実の認知(見方・考え方)の偏りを修正することにより、うつ病による悲観的な認知を修正する方法で、うつ病だけでなく、発達障害や摂食障害、統合失調症といったものにも応用されています。

 

自動思考とスキーマ

 認知療法の重要なキーワードとして、自動思考とスキーマという言葉があります。自動思考とは、ある出来事が起きた瞬間にその人が考えたことを指し、スキーマとは自動思考の癖を指します。人はある出来事が起きた時、勝手に自分の都合のいいように解釈をしてしまいます。例えば、メールの返事が返ってこなかった場合に、友達に嫌われてしまったのではないか、怒ってるんじゃないか、はたまた返事を返さないのは失礼だ、といったように相手の都合とは関係なく、自分で勝手に推測してしまいます。これを自動思考とスキーマといった観点から見ることで、自分が自己否定的な見方をするのか、それとも他者批判な見方をするのかといった心の癖を把握することができます。

 

認知療法とうつ病

 それでは、うつ病における見方・考え方の特徴とは一体なんでしょうか。前に説明した自動思考とスキーマという観点から見たとき、うつ病は自己否定的な見方・考え方をする癖があると言えます。仕事で失敗したからもうダメだ、自分は生きている意味がない、といった見方・考え方がうつ病の特徴ですが、これを客観的に捉え、偏った考え方をしている認識を持つことが重要となります。見方・考え方の偏りを認識することができれば、その後の対応策も検討の幅が広がることになります。認知療法では、自分の見方・考え方の偏りを把握するために思考記録表といったものを活用します。

 

思考記録表の活用

 思考記録表はさまざまな様式があるようですが、日本認知療法学会から参考様式をダウンロードすることができます。この思考記録表に事実や感じたこと、根拠などを書き出すことで、自分が最初に考えたこと(自動思考)が極端に偏ってないかが把握できます。それらを把握することで、その後の行動について修正をすることができます。また、日本認知療法学会では、認知療法の解説やマニュアルもダウンロードすることができますので、参考にしてみてください。