▶ 癒し - 映画 -

アントキノイノチ(2011年・邦画)

 2011年に公開された映画で、第35回モントリオール世界映画祭出品作。さだまさしの小説『アントキノイノチ』が原作。高校生の頃に親友が自殺するという辛い過去を持つ永島杏平は、遺品整理の仕事に就く。同じ職場でゆきという女性に出会うが、彼女もまた悲しいトラウマを抱えていた・・・。

 あの時の命が今の自分に、あなたに、みんなに、そして未来に繋がっている。そんな作者のメッセージを伝えるためか、最後は悲しい結末となっていますが、個人的には非常に好きな作品です。また、辛い過去を背負いながらも、人との繋がりを求め、懸命に生きようとする姿が、自死遺族の姿と重なる部分があるように思います。そして、最後のゆきの問いかけにこう答えたくなるはずです。「元気ですよ!」って。

 

 

ツレがうつになりまして。(2011年・邦画)

 細川貂々が2006年3月に幻冬舎より出版したコミックエッセー『ツレがうつになりまして。』を映画化したもの。堺雅人と宮崎あおいが夫婦を演じていて、スーパーサラリーマンだった夫がうつ病になり、売れない漫画家の妻との闘病生活を描いたハートフルな作品。ちなみにキャッチコピーは「ガンバらないぞ!」と「すこやかなる時も、病める時も、君と一緒にいたい。」。2つ目のキャッチコピーの「病める時も」っていうのがいいですね。

 

 

Hereafter ヒア アフター(2010年・アメリカ映画)

 監督はクリント・イーストウッドで、ナショナル・ボード・オブ・レビューの映画トップ5に選ばれた作品。

 ジャーナリストのマリーは津波で臨死体験をし、そのときの体験を忘れられずにいた。双子の兄を交通事故で亡くしたマーカスは、亡き兄と会う方法探していた。かつて霊能者だったジョージは、その才能を隠しながら生活を送っていた。彼らは全く別々の生活を送っているが、『死』というひとつのキーワードで繋がっていく。

 いずれの主人公も過去に捕らわれているが、最後は未来に向けて歩き出す。いろいろと考えさせられる奥深い作品です。

 

 

カールじいさんの空飛ぶ家(2009年・アニメ)

アニメ映画として初めてカンヌ国際映画祭のオープニングをつとめた作品で、第37回アニー賞や第82回アカデミー賞受した作品。

 幼馴染の妻を亡くしたカールじいさんは、妻との過ごした大切な家を守るため、街の開発計画による立ち退きを頑なに拒んでいました。ところがある日、ちょっとした事件から立ち退かざるをえなくなり、風船を使って妻との夢を果たすため、家ごと旅に出る事を決意します。

 妻との過去を必死に守ろうとする姿や、過去よりも今を選ぶことを決意した姿が、見ている人の涙を誘います。カールじいさんの愛情に感動する作品です。

 

 

おくりびと(2008年・邦画)

 滝田洋二郎が監督を務めた2008年の日本映画で、第81回アカデミー賞外国語映画賞 、第32回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞作品。

 本木雅弘演じる職を失った主人公が次に選んだ仕事は納棺師。遺体を扱う仕事に最初は戸惑いつつも、次第に仕事に対する誇りが芽生え、周囲も理解を示すように。仕事にも慣れてきたそんなある日、子供の時に家庭を捨て出て行った父が死んだという連絡を受け・・・。

 『死』というテーマを扱いながらも、笑いを織り交ぜたユーモアのある、そして、奥が深い作品となっています。亡くなった人に対し、敬意を持って別れを告げることの大切さ・・・いろいろなことを考えさせられる映画です。

 

 

LIFE IS BEAUTIFUL(1997年・イタリア映画)

 ナチスの強制収容所に入れられながらも、家族を守るためにある嘘をつく・・・重たい時代背景の中、その雰囲気を感じさせない笑いとユーモアが詰まった感動作です。演技が大袈裟に感じるところがありますが、そのおかげで重々しい時代背景を感じさせずに楽しく見る事ができます。そして、子どものために必死に嘘を付き通そうとするロベルト・デニーニ演じる主人公の気持ちがひしひしと伝わってきて、ハッピーエンドではありませんが、最後に感動が沸いてきます。親にとって子どもがいかに大切な存在か、その想いが感じられる一作です。